東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 西迫研究室

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研究内容

これまでの研究テーマの例を以下に紹介します。

ステップ乳化法とDLD分離技術 NEW

ステップ乳化法とDLD分離技術

ステップ乳化法は,界面張力勾配を駆動力として用い,流量変動に強く,スケールアップに適した単分散液滴生成法として知られていますが,主滴の生成時にサテライト滴という副産物が生成されることが一般的です.本研究では,ステップ乳化ノズルアレイの下流部にDLDマイクロピラーアレイを配置し,主滴とサテライト滴を分離する装置を開発しました.最大で1000個のノズルをDLD流路と組み合わせた装置を用い,100%サテライトフリーの単分散液滴が得られることを確認しました.

関連論文

  1. Ji et al., Micromachines 15, 908(2024).
  2. Ji et al., Micromachines 14, 622(2023).

スリット流路を用いたステップ乳化装置 NEW

スリット流路を用いたステップ乳化装置

スリット流路と垂直に交差する並列チャネルを備えた新しいステップ乳化装置を開発しました.この装置では,スリット流路に沿って並列配置されたノズル近傍から装置出口に至るまで,生成滴を連続相の流れにより効果的に誘導することで,ノズル近傍への液滴の滞留や液滴同士の合一を防ぐことができます.結果として,単分散の油中水型(W/O)あるいは水中油型(O/W)液滴を迅速に装置外で回収することが可能です.

関連論文

  1. Zheng et al., Ind. Eng. Chem. Res. 63, 10226–10233(2024).

磁場応答液滴を用いたデジタルPCR

磁場応答液滴を用いたデジタルPCR

液滴デジタルPCRは多量の微小液滴内でPCR反応を誘起して,反応した液滴数をカウントすることでDNAを高感度検出できる技術です。本研究グループでは,液滴デジタルPCRで求められる均一かつ熱安定性の高い液滴を作るための,マイクロ流体デバイスや液相組成の研究を行っています。また,磁場応答性粒子を含ませた液滴を作り,個々の液滴を磁気的に操作,分取できる技術の開発を進めています。
*この研究は,競輪の補助を受けて実施しました。

微細なポストによる液滴分裂メカニズムの解明

微細なポストによる液滴分裂メカニズムの解明

水と油などの混ざり合わない二種類の液体を微細なポストが整列した流路に流すことで、比較的均一な(準単分散)液滴を生成できることが知られています。本研究グループでは、その液滴が生成される過程で二つの液滴分裂モードが存在することを明らかにしました。また、分裂した液滴の直径を表すべき乗方程式を明らかにするなど、液滴分裂に関する理解を深めることで、新たな液滴生成デバイスの開発に向けた研究を進めています。

関連論文

  1. Masui et al., Lab Chip 23, 4959–4966(2023).

微粒子分離マイクロ流路デバイス

微粒子分離マイクロ流路デバイス

微粒子分離は医療・生化学分野,生産技術など多岐にわたる領域にて必要とされています。本研究グループでは,規則的に配列されたマイクロピラー構造を有するデバイスを作製し,そこに微粒子懸濁液を導入するという簡単な操作で,特定の微粒子を高効率に分離可能な技術を開発しています。これまでに,ポリマー粒子,液滴,細胞などの分離を実施しており,より高い分離性能を有するデバイスを目指して研究を進めています。

関連論文

  1. Tottori et al., RSC Adv. 7, 35516 (2017).
  2. Tottori et al., Biomicrofluidics 10, 014125 (2016).

マイクロレンズ成型

マイクロレンズ成型

マイクロ流路による液滴生成法を応用し,固体型を用いない,微小レンズの製造法を研究しています。硬化性原料と非硬化性液体が相分離した状態の多相液滴をマイクロ流路を用いて生成し,硬化処理を介して,非硬化性液体によって型取りされた微小レンズ粒子を得ることができます。これまでに二相,三相液滴から各種計状(両凸,両凹,凹凸)の微小光学レンズが得られており,より広範な材料,サイズ,形状に適用できるよう研究を進めています。

関連論文

  1. Nisisako et al., Micromachines 6, 1435–1444 (2015).
  2. Nisisako et al., Small 10, 5116–5125 (2014).
  3. Nisisako et al., 精密工学会誌 79, 460–466 (2013)

人工脂質二分子膜

人工脂質二分子膜

脂質二分子膜は細胞膜の基本構造としてよく知られており,それを人工的に作製した系は,各種電気生理学試験,バイオセンサ,人工細胞の研究等に近年広く用いられています。これまでに本研究グループでは,マイクロ流路中の液滴間やマイクロチャンバ内に脂質二分子平面膜を効率良く作製し,薬剤候補化合物の受動膜透過性をin-vitroで迅速に測定できる手法の研究等を行っています。

関連論文

  1. Nisisako et al., Analyst 138, 6793–6800 (2013).

マイクロ流路の並列化による生産スケールアップ

マイクロ流路の並列化による生産スケールアップ

マイクロ流路を用いた液滴生産技術の幅広い実用化を目的とし,マイクロ流路を高密度に多数並列化(ナンバリングアップ)することによる,各種液滴・微粒子の生産量スケールアップ技術の研究を行っています。これまでに,数cm角のチップ上に数十~数百のマイクロ流路を並列化し,サイズの均一性に優れた単相エマルション滴,Janus液滴,複相エマルションおよび各種微粒子の生産速度を数十~数百倍に高めることに成功しており,さらなるスケールアップを目指した研究に取り組んでいます。

関連論文

  1. Nisisako et al., Lab Chip 12, 3426–3435 (2012).
  2. Nisisako et al., Lab Chip 8, 287–293 (2008).
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